若年性の1型糖尿病とは、小児期・思春期・若年成人(主に30歳未満)で発症する1型糖尿病のことを指します。これは膵臓のβ細胞が自己免疫によって破壊され、インスリンがほとんどまたはまったく分泌されなくなる病気です。
【若年性1型糖尿病の特徴】
特徴項目 | 内容 |
---|---|
発症年齢 | 主に1歳〜20代前半で発症 |
発症様式 | 急激な高血糖、体重減少、口渇、多尿などで気づかれることが多い |
原因 | 多くは自己免疫性(自己抗体によって膵β細胞が破壊) |
発症のきっかけ | ウイルス感染や強いストレスなどが引き金になることもある |
性差 | 男女差はあまりない |
【主な初期症状】
- 異常な喉の渇き(口渇)
- 頻繁な排尿(多尿)
- 急激な体重減少
- 疲れやすさ、だるさ
- 視力のかすみ
- 重症の場合、糖尿病性ケトアシドーシス(意識障害、腹痛、吐き気、呼吸の異常)で救急搬送されることも
【診断】
血液検査で確認される主な項目:
- 血糖値・HbA1c:高値
- 自己抗体(GAD抗体、IA-2抗体など):陽性
- Cペプチド:極めて低値(=インスリン分泌力の指標)
【治療】
基本はインスリン療法のみ:
- 強化インスリン療法(1日4回以上)
- インスリンポンプ(CSII)
- AID(自動インスリン投与システム)も選択肢
経口薬は無効です(インスリンが出ていないため)。
【生活の工夫】
小児・思春期の注意点:
- 学校生活:体育や試験前の低血糖対策が必要。教師や養護教諭への情報共有が不可欠。
- 思春期の心理ケア:自己管理に反発を感じる年齢のため、支援的な関わりが重要。
- 友達との関係:インスリン注射やCGMへの偏見や不安をなくすために、オープンな理解づくりも大切。
【家族のサポート】
- インスリン注射や血糖測定の手伝い
- 低血糖時の対応を習得しておく
- 家族が一緒にカーボカウントや食事管理に取り組むと負担が減る
- 患者会や医療者とのネットワークに参加すると心の支えになることも
【合併症予防】
- 良好な血糖コントロール(HbA1c < 7.0%が目安)を長期にわたり維持することで、将来の網膜症、腎症、神経障害などの合併症を防ぐことが可能です。
- 年1回以上の定期健診(眼底検査、尿検査など)も重要。
【近年の進歩】
- FreeStyleリブレやDexcom G7による持続血糖モニタリング
- オムニポッド(針を刺さないパッチ式インスリンポンプ)
- AID(人工膵臓)による自動血糖管理
- 医療用アプリとスマホの連携による、親子間の遠隔モニタリング
【将来について】
- 1型糖尿病は完治は難しいですが、医療技術の進歩により、健康な人と同じように学業・仕事・結婚・妊娠出産も可能です。
- 日本でも移植療法(膵島移植)や免疫療法の研究が進んでいます。
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